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2023.08.15

Our Craftmanship ー Winter Collection 2023

The Meaning of “Grunge for Luxury”

glambがブランド設立時から掲げる
ブランドコンセプトである“Grunge for Luxury”
ブランドが作り上げたデザインを具現化するのは
職人の手作業
glambの作るグランジアイテムには
1点ごとに時間を惜しまない
贅沢な仕上げが潜んでいる

紙と革を貼りつける
門外不出のペーパープリント

JKT03 : Anarchy Paint Riders JKT

　バーやライブハウスの壁に貼りつけられたポスター。酒や熱気で滲んでいつしか壁と同化しながら、何年も前の公演やらレコードを告知するポスターはストリートの文化遺産。ペーパープリントという新たな技法を用い、今季glambがライダースジャケットに込めたのはそんな一風景への愛着でした。
　この加工を施すのは東海地方にアトリエを構え、洋服の特殊加工を日夜開発しては実施するブランドのファクトリー。ペーパープリントにあたって職人は指定の寸法に合わせてグラフィックを紙で出力。用紙をアイロンでレザーに圧着すると、そこへ門外不出のレシピで用いられた溶剤をスプレー。溶剤が紙に馴染んだところで紙を擦ると余分な紙が剥がれて紙の繊維とインクのみがレザーに残存。アンティークペーパーのような毛羽立ちをもったペーパープリントが完成するのです。
　さらに仕上げに加えられるスプラッシュも、筆など器具を用いることなく指に顔料を乗せて直接塗布。クオリティとスピードを求めた結果、これが最善に至ったという。
　ブランドが思い描いた風景やストーリーが今季も職人の手によって1着ずつ表現されていきます。

デニムの経年変化は
職人のハンドクラフトによって加速する

AC01 : Dirt Unplugged Denim Boots

P01 : Dirt Unplugged Denim

　デニムの経年変化を促す加工は、生デニムの表面を特殊な機材を用いた削りで傷つけ、その後洗いをかけることで表現するのが主流。しかし、この手法で用いられる器具は工業機械を転用した大きなギアが多く、今季登場するデニムブーツのような小さな対象に対して均一なクオリティを保つのは不得手です。
　そこでこのブーツの加工を担うのも、ライダースのペーパープリントと同じ加工工場。ブリーチ剤をウエスに含ませ、インディゴを拭き取るようにして経年変化の風合いを表現。ライダース同様、こちらも一足一足を目視で加工感を確認しながらクオリティをコントロール。
　さらに今季は品名に“Dirt”の名前を冠した新たな仕上げを発表。経年変化の加工を施した後に、手作業にてトッピングと言われる茶系の汚しとペンキを模した白の汚しを追加。完全なるハンドメイド仕上げのため世間では「一点物」と謳い文句にするかもしれませんが、glambの仕上げは非常に均一。緻密な表現は一足一足ではなく、片足片足レベルでアイテムに向き合う姿勢から生まれます。

01. ブリーチ剤を含ませたウエスで色落ちをさせていく様子。実際に着用した際に擦れて色落ちが進むだろう箇所を想定し、そこに擦りを加えていく。通常であれば何か月、何年といった着用で生まれる経年変化を手作業で表現。時を越える工程です。
02. 今季リリースされるデニムパンツも一部のパッチに同様の経年変化加工を施したもの。
03. 茶系の汚しであるトッピングを行うところ。顔料をスプレーで吹き付けて染みを作る。これによって奥行ある表情が加わる。
04. 白の汚しはウエスに顔料を含ませて点状に塗布する。これらの工程がすべて片足単位のハンドメイドで行われる。

プリントではなくペイントで描く
アブストラクトボーダー

CS06 : Hand Paint Border CS

　今季glambがリリースするカットソーもまた加工工場の緻密な仕事が発揮されたもの。写真をご覧いただくとおわかりになるよう、身頃に配されたボーダー柄はすべて手描きによるもの。
　サンプル制作時はデザイナーが描いた絵型をベースにしながら職人とデザイナーが実際に筆を取って色彩や筆致、ボーダーのバランスを確認。量産の際には職人がサンプルとの差異を最小限にすべく緻密にペイントを行っていく。
　乾かしながら複数枚を並行して進めていくものの1枚に要する時間はおよそ60分。制作をプリントに切り替えれば大幅な時間短縮が可能に思われますが、ペイントならではのポイントはリブ部分など凹凸ある箇所への柄入れ。首元まで柄が続いているのはデザイナーにとっては前提であり、お客様にとっても当然のこと。ですが、その当たり前の仕上がりの奥には職人の妥協ない仕事が潜んでいるのです。