2023.05.10
AfterWords – glamb Autumn Collection 2023
glamb秋コレクション“Heartbeat Dusk”
夕暮れ時、一日で一度だけ、
世界が夢と繋がるような様相を見せる時間
けれど心臓の鼓動一打ちほどの間に
終わってしまう短い時間
夕暮れ時のように魅惑的な
胸の高鳴りの感覚をデザインに託したコレクション
今秋のワードローブの物語を
ブランドスタッフが綴る
■コレクションへの思い
今回のコレクションをデザインする前に、1週間ほど今後のテーマやデザインのやり方などを自由に考える期間があった。今までのデザインの仕方とは少し違うアプローチでコレクションを作っていったのだが、それが意外と難しく、インスピレーションをあえて探そうとすると逆に何も響かない。普段しない事や、美術館などに積極的に足を運んだが個人的にしっくりくる感覚が無かった。僕はいつも、『デザインは神頼みだ』と思うぐらい次のコレクションでどんなアイデアが浮かぶのかコントロール出来ないし、急に思いつく、どうってことないアイデアがヒット作に繋がったりもする。
ある日、道端で見かけた人が着ていた服がふわりと動いた。その時に思いついたデザインを絵型にし、打ち合わせをして生地を決めた。その品番に費やした時間はおよそ20分だ。逆に、あるアイテムはアイデアを練るのに2日、実際に描き起こすのに2日、それが気に食わなくて3回やり直して結局1週間ぐらい時間を使った物もある。
皆さんはその2つのアイテムがどれか当てる事は出来るでしょうか?正解者には僕が趣味で作るTシャツの新作をプレゼント。回答はインスタのDMにて。
■今季の一押しアイテム
JKT01 : Chin Strap Leather Blouson
僕が今回のコレクションで多用しているディテールをご存じだろうか? 通称チンスト。 Chin Strapの略で、この愛嬌のあるディテールにハマってしまった。元々、glambでも使っていたマイナーディテールなのだが趣味の古着巡りでもチンストが付いているアイテムばかり探していた。上品な肌触りのレザーで作ったダボいジャケット。その立ち襟の中に顎を沈めるのがなんか可愛い。他のチンストアイテムもおすすめです。
■My Heartbeat Dusk
僕は小さい頃から喘息持ちで、長距離走はいつもビリだった。それでも野球がやりたくて、中学で野球部に入り中3の終わりには高校生と混じって練習に参加していた。貧弱な僕には高校生のランニングがキツ過ぎて免疫力が落ちたのか、インフルエンザや麻疹になったのを覚えている。
高1の秋に大嫌いなマラソン大会があり、10km弱を走り抜いた。結果は450人中、6位。僕はいつの間にか喘息を克服して長距離が得意になったのに初めて気付いた。そこで迎えた高2のマラソン大会。去年の自分を超えようと、やる気満々で立つスタートラインで僕は自分への期待で心臓の音が喉から聞こえるほど気持ちが高まっていたのを覚えている。あまりの興奮を抑えきれず、途中で過呼吸になり結果は11位。人生2回目の悔し泣きを経験した。そして高3の時に掲げた目標は自分の胸の高まりを抑え、脱力して走ること。結果は3位。どうやら僕は、デザインもスポーツも力み過ぎない方がいい結果が出るタイプのようだ。人生楽に行こう。がんばりすぎても、思い通りにならないのだから。と言いつつも、夜な夜な考え込んで不眠症の日々が続くセンシティブな男なのでした。
■コレクションへの思い
今季のコレクション「Heartbeat Dusk」は洋服がもつ胸の高まりの感覚であるとともに、もう一方で作り手である私たちのストーリーでもあった。デザインそのものに加え、圧倒的スケール感のある写真をもってglambのコレクションは完成となる。ベストを目指す上で、僕ら自身が最も胸が高鳴る瞬間こそがDuskなのだ。まさに鼓動一打ちにも感じられるほどのひと時で、そこにスタイリング、ヘアメイク、ロケーション、モデルの全精力を写真にぶつけている。胸の高鳴り、身体が沸騰するような熱さ、焦燥感、あらゆる感覚が交わる瞬間だ。ぜひルックブックでストーリーをご覧いただきたい。今季のロケ含めて、天気のせいで良い画が撮れないなんてことは今まで一度もなかった。ベストを尽くし続けていると胸を張れるチームには天も味方してくれるのだなと思う。まさに天佑自助。
■今季の一押しアイテム
SH08 : Evening Flower SH
何度かglambとコラボレーションさせていただいている写真家の有賀さんの「ただものじゃねえ」という言葉が心に残っている。写真展で在廊されていた有賀さんが、来られたお客様の雰囲気を見ておっしゃっていて、そこから話が非常に弾んでいた。事実、その方は超有名ホテルの専属イベント司会者であった。なるほど、あらゆるプロフェッショナルというものはその佇まいからムードをビシビシと醸し出し、さらに相手をも巻き込んでいくのだな。glambには「ただものじゃねえ」ラインナップは数多いと自負できる。その中で僕がひとつチョイスするならこのEvening Flower SHかな。
■My Heartbeat Dusk
フォトグラファーという仕事は胸が高まる瞬間というものにとても恵まれている職業だとつくづく思う。撮っている時もちろんだが、行くぞと鼓舞する時も、現像して仕上がった時もすべてに高鳴る瞬間があるのだ。そのなかでも特に覚えているのは、ちょうど一年前の根室での撮影だ。ハウススタジオで撮ったときと比べてのスケールが違う広大なロケーション、地平線から昇る太陽、「こういうのが撮りたかったんだ!」と無我夢中になってシャッターを切っていた。glambの写真のあるべき姿を再確認した瞬間でした。
■コレクションへの思い
僕らの大事な仲間が1人5月で退職することになった。1年で8人が退職したことになる。とても寂しいが、そんな思いをさせてくれない位激務になった。心の支えは残った仲間達のテンションが高いことだ。更にありがたいことは卒業した仲間達が外部から仕事を支えてくれている。もはやこれがglambの完成形なのではと思うくらい上手くいっている。そんなテンション高めな皆で作り上げたコレクションを手に取っていただければ幸いだ。過去最高のglambっぽいが詰まっているのでぜひ!
■今季の一押しアイテム
P13 : Crazy Remake Denim
このパンツの形が好きで3本持っている。前にも書いたが、オーバーサイズのlevi’sをベルトで絞って履いていた10代の頃を思い出すからだと思う。普段ブーツばかり穿くのだが、このライトインディゴのデニムはスニーカーで合わせたい。さらにベルトの穴を一つ緩め、ちょっと下げて昔みたく靴を引きずって歩いたら、不良と呼ばれずイケオジって言われないかな。
■My Heartbeat Dusk
それはコロナ禍で生活スタイルが変わった時。何がきっかけだったかは忘れたが、スマブラが強くなりたいと思った。そこから始まった練習の日々。1日3時間以上はやったであろう。このゲームではオンラインでネット対戦が出来るモードがある。更にランク分けされており推定上位10%がVIPクラス同士で戦える部屋に入れる。僕はどうしてもそこに入りたかった。毎日上がったり下がったりの連続。2020.11.20その日はやってきた。僕は最強だと思った。最強ではなかった。更に上の魔境の存在を知ってしまったからだ。それはvipと違い推定上位2%と狭き門だった。2023.5.10僕は魔境の中腹にいる。最強にはまだほど遠い。
■コレクションへの思い
Autumn Collection 2023、これが自分にとって最後に携わるコレクションとなります。先輩後輩関わらず今まで何名もの社員を見送り、気がつけばいつの間にか古株となっていたglambを離れることとなりました。自分にとってはこれが終着点となりますがブランドとしては創立20年を迎え、さらなる未来へ向けての新たな出発点。これからは皆さんと同じくブランドの一ファンとして応援し続けたいと思います。
■今季の一押しアイテム
CS16 : Drape Neck Hoodie
glambのデザインの特徴としてよく耳にするのが普遍的なアイテムに遊び心を効かせたディテール。僕らにとっては最高の褒め言葉です。こちらのアイテムも秋口定番のフーディにglambらしさを詰め込みました。襟元に大きく取ったドレープや、その内側に配したフェイクレイヤード風ハイネック。スタッフ内で最もフーディの着用頻度が高い自分が自信を持ってお薦めできる1着です。
■My Heartbeat Dusk
10代で音楽に目覚めリスナーからプレイヤーに転身すべく学生時代をギターに費やした。当時、欲しかったエフェクターがあったのだが中学生が簡単に買える額ではなかった。そんな時に訪れたのが修学旅行チャンス。親から貰ったお小遣い3万円を握りしめ修学旅行先である札幌の楽器店で29,700円のマルチエフェクターを買った。もちろんホテルへ持って帰る訳にもいかず店から配送してもらったのだが自分の帰宅よりも先に商品が自宅へ届いてしまった。お土産も買わずに手ぶらで帰った自分を鬼の形相した母親が待っていた。もちろんこっぴどく怒られたけど初めてアンプに繋いで鳴らした時のあの音色は今でも忘れません。
■コレクションへの思い
今季のサンプルが到着し、ラックに並んでいるのを見た時に僕が入社した2009年ごろのシーズンを思い出しました。「クセがすごい」って今ではよく言いますが、当時からglambはデザイナーやスタッフもお客さんも自他ともに認める「クセすご」が個性でした。今季のアイテムは当時からの系譜に連なる強い柄がたくさん。ぜひ当時を知る方も、知らない方もお気に入りの柄を探してみてください。
■今季の一押しアイテム
KNT06 : Big Leopard Cardigan
三十代も半ばを迎え、私は気がつけばレオパードばかり着ている。今年の冬は特にそうで、靴、帽子、パンツ、ヒョウ柄が無い日は無いというくらい。今季登場したレオパードカーディガンもぜひワードローブに加えたいなと楽しみにしているアイテム。女性が着てもかわいい柄使いなので、パートナーとのシェア着用もおすすめです。
■My Heartbeat Dusk
胸が高鳴る夕闇、そんな名前が冠された今コレクション。その名前を聞いて大学時代のことを思い出しました。当時、僕はヒモこそが男性の中で一番すぐれていると考えていて、ふとした巡り合わせから銀座の百貨店で働く年上の女性と出会い、お付き合いをしていました。大学の講義を終えて、夕闇のころ僕がいるのは銀座の喫茶店。今日は何をごちそうになろうとか、そんなことばかり考えていましたが、今思うと彼女は当時入社数年。自分のためにすごくがんばってくれていたんだという思いと、身勝手で浅はかなヒモ願望への落とし前を込めて、いつかどこかで会った時は僕に一杯ごちそうさせてください。
■コレクションへの思い
ダイエットを始めた頃はそりゃあもうやる気に満ちあふれていた。どんなに体力的精神的時間的にしんどい日でも日課の筋トレは欠かさなかったし、ほど良い空腹を心地良く思いながら眠りについたものだった。それがどうだ、気がついたら半月ほど何もしないで一日を終えてしまっているし、夕食後はおやつタイム。当然それは数字にも現れる。怠けることに慣れてしまうと人はどんどん堕落してしまっていくのだ。始めた頃のチャレンジ精神を呼び戻せ。今季のアイテムにもシルエットやデザインミックスなど、20周年にあぐらをかかないチャレンジングなデザインがたくさん詰まっている。秋のスタイリングが形になる頃には、また何か新しいチャレンジをしている自分でありたい。
■今季の一押しアイテム
AC04 : Tech Mix Sneakers
という体たらくな自分を変えようというわけでもないですが、GWにワイフと高尾山に登ってきました。僕の記憶の中の高尾山は、「リフトで運ばれた後は比較的平坦な道のりで簡単」というもの。混雑を避けるため早朝に行ったのでリフトはまだ運行しておらず、中腹まで徒歩で行くことに。一番簡単なコースを選んだのですが、延々と続く坂道がこんなにしんどいとは! 下から全部歩くガチの登山の厳しさを思い知らされました。次にもっと難しいコースに挑むにあたり目についたのが今季登場となるこちらのスニーカー。登山の現場から生まれたヴィブラムソールに加え、アッパーはウェットスーツ素材で柔らかく足にフィット。キツい斜面やハードな足場と戦うにはこれしかない。ぜひ日曜の展示会に履きに来てみてください。
■My Heartbeat Dusk
職場があるので今では毎日通い詰めている原宿ですが、初めて訪れたのは高校一年生の時。立川の田舎からお上りしてきて買ったのはロックの象徴、レザーパンツ。そしてそれを穿いて行ったところはどこかというと当時アルバム『BLUE BLOOD』を発表し飛ぶ鳥を落とす勢いだったXの武道館公演。全曲の振り付けを覚えていった僕はTOSHIの言うまま上半身裸になって「エーックス!!」と飛び跳ねていたのでした。DIO様への「そこにシビれる! あこがれれるゥ」的にあんなにも誰かにまっすぐに崇拝したこと、全力で踊り狂った瞬間って今後もう無いかもしれません。
■コレクションへの思い
気がついたらもう迎えていた今季。「あれ? 夏のコレクション昨日やらなかったっけ?」と勘違いしてしまうほど、目まぐるしい3ヶ月間だった。そんな怒涛の日々の中、コロナ規制が解除されたことにより人との出会いが増え、高揚に満ちあふれ最高のコンディションで臨むオータムコレクション。僕は秋が四季の中で1番好きだ。寒暖差が少なく、ほど良い気温のこの時期は幅広くファッションを楽しむことが出来る。今年は「柄」をテーマにスタイリングをしているのだが、オータムのアイテムを見渡すと今まで着たことの無かったパターンがちらほらと。そういったアイテムに袖を通して、新たな自分開拓を1歩ずつしていこう。
■今季の一押しアイテム
GB0323/CP02 : Earmuff Watch Cap
ヘッドウェアを普段着用する・しない関わらず1度は手に取っていただきたいアイテムです。太めのリブ編みボディに耳あてを配した姿が前衛的でありながらも、親しみやすい印象です。フライトキャップのようにストリートに着用することも、従来のワッチのようにカジュアルに着用することもできるレンジの広さが非常に魅力的。そして何より、ウール地のボディがとても触り心地がよくストレスなく頭を覆ってくれるので、普段使いはもちろん旅行などの長期着用にも適しています。
■My Heartbeat Dusk
15歳の時期、僕は東京ドームにいた。ONE OK ROCKのLIVEへ友人と参戦していたのだ。茨城で育ち、東京なんて右も左も分からないような田舎者の青年だった僕は、高層ビルに囲まれた街を横目に、期待と不安が入り混じった状態で初めてのLIVE会場へと足を運んでいた。始まった瞬間、自分でも信じられないほど勝手に体が動きだし叫んでおり、飛び散る汗さえ心地良く感じた。そして、衣装に身を包まれ表現する彼らは非常に輝いていてかっこよく、僕もあんな風に自分を表現できる存在になりたいと思った。今思えば僕のファッションの源泉は音楽だったのかもしれない。これからもその縁を絶やすこと無く視野を広げていく。
■コレクションへの思い
全てのシーズンを通してデザインするアイテムのジャンルが一番多い秋物。そのジャンルの多さゆえに、デザインしていると自分が何者であるか、どういう人間なのか分かるくらいデザインには特徴が現れる。今季だと異素材ミックスや特徴的な柄使いがデザインしたものの中では多かった。少し攻めすぎたかなと思う反面、それくらい自分の中では真夏の暑さから解放され、涼しくファッションを楽しめる季節の喜びがデザインしたアイテムに写し出されているのが分かった。せっかくの季節だし少し攻めてみても良いじゃないか。このコレクションを通したあなたの中にある眠れるまだ見ぬファッションが目覚めることを願います。
■今季の一押しアイテム
JKT21 : Crazy Textile Blouson
今季の挑戦的なアイテムを一つ紹介させていただきたい。細かいヘリンボーン柄と大きなチェック柄、マットなツイード素材と光沢感のあるナイロン素材、相反する素材同士を組み合わせたCrazy Textile Blouson。ここまで切り替えが多いと普通はスポーティに見えてしまうのですが、素材や色使いによってラグジュアリーな佇まいに変貌させました。僕はこのジャケットを纏いインナーにはヴィンテージのネクタイ、パンツは昔から愛用してるスラックスを合わせてお洒落な休日を謳歌したいと未来の想像を既に始めてます。コーディネートの主役を飾るアイテムになると思いますので、ぜひそのパワーを感じ取っていただければ幸いです。
■My Heartbeat Dusk
学生の時に先輩の衣装コンペの製作のお手伝いをしてて、授業が終わったら毎日のように製作部屋に通っていた。鏡の様な反射板を切り貼りする終わりの見えない作業やプレッシャーの中、僕は終盤に高熱を出してしまい衣装の完成を見ることなくコンテスト当日を迎えた。ランウェイでお披露目する形式で先輩の衣装を着たモデルが歩きながら姿を現した。衝撃が走った。照明によって衣装から光が反射され、会場がその光でスパークした。その力強い光の中でウォーキングが披露され、僕はその衣装のあまりの美しさに初めて服で泣いた。あの時の感動は一生忘れないだろう。その衣装のタイトルは「光のとりこ」。僕はその日からずっとあの光に囚われている。
【5/14(sun)】glambスタッフがおもてなし
夏コレクション全アイテムを試着できる展示会
Autumn Collection 2023 “Heartbeat Dusk”
Summer Collection 2023 “Killer Street”
Spring Collection 2023 “Killer Street”
20th Anniversary Photo Session
× JESSE
『THE MET』コラボレーション
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