Summer Collection 2025

Summer Collection 2025 “TIME TRAVELER”

 時を越えて旅をするタイムトラベル。そんなことは映画の中での話と考える方が多いだろう。しかし、僕はタイムトラベルは私たちの人生の近くに存在していると考えている。

 3ヵ月に1度、デザインのインスピレーションを求めて僕は海外に行く。今回はサンフランシスコとロサンゼルスを巡った。
東京を発つフライトは11月1日21:25だった。飛行機に乗ってサンフランシスコに到着すると日時は11月1日の14:30。僕は日本を出発した時刻よりも早い時刻にいた。旅行者にとっては当たり前のことだろうが、そのときの僕は時間が曲がったような感覚を受けた。限られた時間の中で次のコレクションの構想を固めなければならないプレッシャーで、時間の感覚にナーバスになっているだけだろうか。あるいは何か大きな気づきの予兆なのか。自分の中で生まれた時間に対する違和感に向き合いながらホテルへと向かった。
 滞在中、再び時間について考えさせられる瞬間があった。僕は日本にいるアシスタントと18:00にオンラインミーティングの約束をしていた。しかし、アシスタントが電話をかけてきたのは17:00だった。お互いの認識に齟齬があったのかと思いつつ、こちらの予定もあるから元々話していた時間で打ち合わせたいと伝えたのだが、彼は約束通りの時間に電話をしていると主張する。そこでようやく気がついたのだが、その日の日付でロサンゼルスは11月7日。現地では11月3日にサマータイムが切り替わっていて、現地時間が日本よりも1時間遅くなっていたのだが、僕はそれに気づかずに過ごしていたのだった。「アメリカに着いてからの僕はまるでタイムトラベルをしているようだ」、僕は自分のスーツケースを見て考え始めた。

「いや。そもそも、自分はTIME TRAVELERとして今の時代を旅していて、ふとしたときに記憶をなくし、元いた時空に戻ることを忘れて現在を生きているのでは?」

 自分が本当にデザインすべきなのはタイムトラベルのためのギアであり、それを使って元の時空に辿り着くためではないか——。もし僕が本当にTIME TRAVELERだったなら——。歪んだ時空で記憶喪失になった可能性は——。きっとタイムマシンはどこかのモーテルに隠したはずだ——。限られたラゲッジスペースに対応するためにギアはコンパクトで実用性があるもので無ければいけない——。時に人から身を隠すために、透明に見えるジャケットも開発する必要がある——。移動中も快適でスタイリッシュに過ごすべきだ——。

 そして遂に、セットアップを含む18種類の”TIME TRAVEL GEAR"が発表される時が来た。まだ開発段階のプロトタイプモデルもあるが、この全てをスーツケースに詰め込めば、上質なタイムトラベルを体験できるだろう。

 皆様には申し訳ないが、僕はこのギアを使い、ひと足先に自分が元々居た時空に戻り、次のコレクションは別次元でのデザインになる可能性もある事をお許しいただきたい。
 それでは皆様も、シートベルトを腰の低い位置でしっかりとお締め頂き、快適なタイムトラベルをお過ごし下さい。

See you on the other side.

glamb Head Designer:
TK

  • ModelZen
  • Felix
  • Marco
  • PhotograghyYuko Takakai
  • Hair&MakeShota Nishiyama
  • StylingTK
  • Akihiro Takaiwa